私の父が亡くなった際、私たち家族が決めた葬儀の予算は総額で100万円でした。これは決して父を軽んじたわけではなく、生前「葬式に金をかけるより、残された者たちの生活に使ってほしい」と口癖のように言っていた父の遺志を尊重した結果でした。実際に100万円という予算で葬儀を執り行ってみて感じたのは、驚くほど「ちょうど良い」という感覚でした。参列者は親戚と父のごく親しい友人合わせて25名ほど。祭壇は父が好きだった青い花を中心に構成してもらい、派手さはないものの、凛とした美しさがありました。100万円という枠を決めていたことで、葬儀社との打ち合わせも非常にスムーズに進みました。選択肢が無限にある中で迷うのではなく、「この予算内で最高のものを」という共通の目標があったため、担当者の方も具体的な提案を次々と出してくれました。例えば、高価な布張りの棺ではなく、木目の綺麗なシンプルな棺を選び、その分、父が愛用していた趣味の品を飾るスペースを広く取るといった工夫です。結果として、参列した方々からも「お父さんらしい温かい式だったね」と言ってもらえ、私たち家族の心にも深い満足感が残りました。しかし、実際に体験して分かった注意点もあります。それは、100万円という予算が「どこまでカバーしているか」の認識合わせです。当初、私たちは御布施も込みで100万円と考えていましたが、お寺へお渡しする分を差し引くと、葬儀本体にかけられる費用が予想以上に削られることに気付きました。最終的には、御布施は別枠として管理することにしましたが、このあたりの調整は事前に行っておくべきだったと反省しています。また、参列者が予定より数名増えただけで、返礼品や料理の追加注文が発生し、最終的な請求額が予算を数万円オーバーしてしまいました。100万円ピッタリを目指すのであれば、90万円程度の見積もりを組んでおき、10万円ほどの余白を持たせておくのが、精神的な余裕にも繋がると感じました。これから葬儀を考える方には、100万円という予算は決して質素なものではなく、現代の価値観に合った非常に賢明な選択肢であることをお伝えしたいです。金額に縛られるのではなく、その金額をどう割り振るかというクリエイティブな視点を持つことで、最高のお別れが実現できるはずです。