「水替え不要で長持ちする」という点が最大のメリットであるプリザーブドフラワーですが、全くの放置で良いわけではありません。大切な人への供養として贈られた、あるいは自分で購入したプリザーブドフラワーを、5年、10年とさらに長く美しく保つためには、いくつかの守るべきポイントがあります。葬儀後の仏壇やリビングに飾る際、まず最も注意しなければならないのが「直射日光」です。プリザーブドフラワーに使用されている染料は非常に繊細で、太陽の紫外線を長時間浴びると、数ヶ月で色が褪せてしまいます。特に窓際に仏壇を置いている場合は、直射日光が当たらないようにカーテンで遮光するか、置き場所を工夫する必要があります。次に大敵となるのが「湿度」です。プリザーブドフラワーは、湿度が50%から60%を超えると、保存液が空気中の水分を吸収し、花びらが半透明になったり、液漏れ(着色料が溶け出す)を起こしたりします。特に梅雨の時期などは、除湿機を活用したり、風通しの良い場所に置いたりすることが不可欠です。逆に、極端な乾燥も禁物です。エアコンの風が直接当たる場所に置くと、花びらが乾燥しすぎてひび割れてしまうことがあります。もし花びらが透けてきたら、湿度が低すぎるか、逆に高すぎるサインです。理想的なのは、常に一定の湿度と温度が保たれた、人間が快適だと感じる空間に飾ることです。そして、物理的な「埃」への対策です。花びらに埃が積もると、見た目が損なわれるだけでなく、埃が湿気を吸ってカビの原因になることもあります。埃がついた場合は、ドライヤーの弱冷風を遠くから当てて飛ばすか、非常に柔らかい毛先の筆でそっと撫でるように取り除きます。ただし、一番の推奨は「ケースに入れて飾る」ことです。クリアケースやガラスドームは、埃や湿気から花を守る最強のシールドとなります。もしケースが曇ってきたら、内側を乾いた布で拭くだけで、花の状態を良好に保てます。また、プリザーブドフラワーを飾る際には、線香の煙にも注意が必要です。線香のヤニが花に付着すると、変色やベタつきの原因になります。お参りをする際は、少し離れた場所に置くか、ケース入りのものを選ぶのが無難です。最後に、プリザーブドフラワーは「生きている」わけではありませんが、環境に「反応する」デリケートな存在です。時折、花の様子を見て「今日も綺麗だね」と心の中で語りかける。その関心が、結果的に適切な管理へと繋がり、花を長持ちさせることになります。故人を偲ぶ花が、いつまでも瑞々しく咲き続けるように、こうした細やかな気配りを忘れないようにしましょう。お手入れをすることもまた、一つの大切な供養の形なのです。
プリザーブドフラワー供花の美しさを長持ちさせるお手入れの極意