訃報に接し、哀悼の意を表すために贈る花について、枕花や供花としてプリザーブドフラワーを選ぶ際の実践的な作法を整理しましょう。まず、最も重要なのは「葬儀後の遺族の環境」を想像することです。葬儀当日の斎場への供花は、前述した通り生花を葬儀社を通じて手配するのが一般的ですが、その後の「枕花」や「後飾り」として贈る場合は、プリザーブドフラワーは非常に喜ばれる選択肢となります。枕花として贈る場合、最も気をつけたいのはサイズです。病院から戻られたばかりの故人の枕元は、限られたスペースしかありません。また、葬儀に向けた準備で物が溢れる場所でもあります。そのため、直径10cmから15cm程度の、場所を取らずに飾れるコンパクトなアレンジメントが最適です。また、この時期に贈る花の色は、必ず「白一色」に近い構成にしてください。薄いグリーンや淡いブルーは許容されますが、ピンクや黄色が入ったものは、亡くなって間もない時期の贈り物としては控えましょう。次に、葬儀が終わった後の「初七日から四十九日」にかけて贈る供花についてです。この時期、遺族は葬儀の疲れがどっと出るとともに、寂しさが募る時期でもあります。ここで贈るプリザーブドフラワーは、白をベースにしつつも、淡い紫や青などの落ち着いた色味を加えた「寒色系」のデザインが望ましいです。特に仏壇用の対(つい)になったデザインは、そのまま仏壇に飾れるため非常に重宝されます。注意点として、プリザーブドフラワーは湿気に弱いため、もし遺族の家が古い木造建築や湿気の多い地域である場合は、必ず「ガラスドーム」や「クリアケース」に入ったものを選び、湿気対策がなされていることを確認してください。また、プリザーブドフラワーは「造花(アーティフィシャルフラワー)」とは異なります。生花を加工したものであるため、仏教における「生きた花を供える」という本質に近いものとして受け入れられますが、中にはそれを混同し、「お供えに作り物は失礼だ」と考える保守的な方も稀にいらっしゃいます。そのため、親戚間などで贈る場合は、あらかじめ「最近は手入れの負担を考えてこういうお花が選ばれているようだけど、どうかな?」と一言相談するか、メッセージカードで「お疲れの出やすい時期ですので、お手入れのいらないお花を選びました」と理由を明記することが、トラブルを防ぐマナーとなります。形式を守りつつ、現代的な合理性を取り入れる。そのバランスを保つことが、洗練された大人の弔いの作法と言えるでしょう。
枕花や供花としてのプリザーブドフラワーの知っておくべき作法