私は街の花屋を営んで30年になりますが、ここ数年、お悔やみや仏事用としてプリザーブドフラワーを求めるお客様の数が、以前の3倍以上に増えていることに驚いています。当初は「仏様に本物の花じゃないものを供えるのはどうなの?」と懐疑的な方も多かったのですが、一度利用された方が「本当に助かった」「遺族の方に喜ばれた」とリピーターになってくださるケースが非常に多いです。お悔やみ用の花を選ぶ際に、私がお客様に必ずお伝えしているのは「故人の年齢や性別よりも、ご遺族のライフスタイルを想像してください」ということです。例えば、ご遺族が高齢のご夫婦であれば、重い花瓶を持ち上げたり、毎日水を替えたりするのは大変な重労働です。そんな時は、軽くて丈夫なプラスチック製や木製の器に入ったプリザーブドフラワーが喜ばれます。逆に、お洒落に敏感だった若い方が亡くなった場合は、仏花らしいデザインよりも、インテリアとして飾れるようなモダンでスタイリッシュなアレンジメントの方が、ご遺族の悲しみを和らげることもあります。最近のトレンドとしては、定番の菊(マム)だけでなく、バラやカーネーション、そして「枯れないグリーン(葉もの)」を多用した、瑞々しさを強調したデザインが人気です。プリザーブドフラワーは乾燥しがちに見えることがありますが、上質なものは生花と見紛うほどの弾力があります。当店では、埃よけのクリアケースを必ずお付けすることをお勧めしていますが、それは「贈られた後もずっと美しくあってほしい」という、お客様の願いを形にするためでもあります。また、ペットの葬儀用としても、プリザーブドフラワーは非常に需要が高いです。家族同然だったペットを亡くされた飼い主さんにとって、長い間変わらず咲き続ける花は、失われた命への変わらぬ愛の象徴になるようです。お悔やみの花選びに「正解」はありませんが、大切なのは「相手に余計な負担をかけず、かつ心に明かりを灯すこと」です。私たちは、花を売るだけでなく、お客様のその優しい気持ちを代弁する仕事をしているのだと自負しています。プリザーブドフラワーは、時間が止まったような美しさを持っています。その静かな佇まいが、悲しみの中にいる方の心を、そっと支えてくれることを願って、毎日一輪一輪丁寧にアレンジしています。もし迷ったら、ぜひ専門店のスタッフに声をかけてください。贈る側も贈られる側も、双方が納得できる「心の花」がきっと見つかるはずです。
花屋の店主が語るお悔やみ用プリザーブドフラワーの選び方