「無宗派葬儀は、宗教的な儀式がない分、費用が安く済む」というイメージを持つ方は少なくありません。確かに、その側面はありますが、一概に「無宗派=安い」と断定することはできません。費用の内訳を正しく理解し、どのような場合に費用が変動するのかを知っておくことが、後悔しない葬儀のためには重要です。まず、葬儀費用は大きく分けて、①葬儀社に支払う費用、②飲食や返礼品にかかる費用、③宗教者へのお礼(お布施など)の三つで構成されます。無宗派葬儀の場合、このうち③の宗教者へのお礼が必要ないため、その分だけ費用を抑えられる可能性が高いのは事実です。僧侶にお渡しするお布施は、数十万円にのぼることも少なくないため、この部分がなくなる影響は大きいと言えるでしょう。しかし、注意しなければならないのは、①の葬儀社に支払う費用です。祭壇や棺、霊柩車、式場の使用料、運営スタッフの人件費といった基本的な費用は、仏式の葬儀と何ら変わりありません。そして、無宗派葬儀の費用を大きく左右するのが、その自由度の高さゆえの「演出費用」です。例えば、故人の好きだった音楽の生演奏をプロの演奏家に依頼すれば、その出演料がかかります。本格的な思い出ムービーを作成すれば、その制作費が必要です。特別な花で祭壇を飾りたい、メモリアルコーナーを豪華にしたいといった希望があれば、その分だけ費用は加算されていきます。つまり、無宗派葬儀の費用は、内容を簡素にすれば仏式より安く抑えられますが、逆にこだわった演出を盛り込めば、仏式の葬儀よりも高額になる可能性も十分にあるのです。そのため、無宗派葬儀を検討する際は、まず「どのようなお別れをしたいか」という核となるコンセプトを家族で話し合い、その上で葬儀社に相談し、詳細な見積もりを取ることが不可欠です。「無宗派で、できるだけシンプルに」と伝えるのか、「無宗派で、音楽と花をふんだんに使って華やかに」と伝えるのかで、提示される金額は全く異なってきます。自分たちが望む葬儀の形と、かけられる予算のバランスを考え、納得のいくプランを選択することが大切です。