葬儀の案内状や、葬儀後に送られる会葬礼状、あるいは事後報告の挨拶状など、弔事に関する文書の中にも「当家」という言葉は頻繁に登場します。口頭で使われる場合とはまた少し違った、文書ならではの役割と意味を理解しておきましょう。まず、葬儀の案内状における「当家」は、その葬儀の主催者が誰であるかを明確にする役割を持っています。特に、会社が主催する社葬などではなく、個人(家族)が主催する葬儀であることを示す際に、「当家儀」といった形で使われることがあります。「儀」は「〜に関する件」といった意味で、「当家の葬儀に関する件」という改まった表現になります。また、近年増えている家族葬の案内状では、「当家の意向により、葬儀は近親者のみにて執り行います」といった形で、遺族の総意を示す言葉として用いられます。この文面から、参列者は「これは家族葬であり、一般の弔問は辞退しているのだな」と、遺族の意向を正確に読み取ることができます。同様に、「当家としましては、誠に勝手ながらご香典ご供花の儀は固くご辞退申し上げます」といった文言も、香典などを辞退するという「家」としての一貫した方針を示すために使われます。葬儀後に送られる会葬礼状では、喪主の名前と共に「親族一同」と記されることもありますが、「当家」という言葉が使われることもあります。これは、参列していただいたことへの感謝を、喪主個人としてではなく、遺族・家族全体として表すための表現です。文書における「当家」は、口頭で使われる場合よりもさらにフォーマルなニュアンスを持ち、その「家」の公式な意思決定や総意を示す、重みのある言葉として機能します。案内状などを受け取った際は、そこに記された「当家」という言葉に込められた遺族の意向を丁寧に読み解き、その気持ちを尊重した行動をとることが、参列者として最も大切なマナーとなります。