葬儀の場で使われる「当家」という言葉には、「喪家(そうけ)」や「遺族(いぞく)」といった、よく似た言葉が存在します。これらの言葉は、同じような場面で使われることもありますが、それぞれに少しずつニュアンスの違いがあります。その違いを理解することで、より適切に言葉を使い分けることができます。まず、「当家」と「喪家」の違いです。この二つの言葉は、意味としてはほぼ同じで、どちらも「葬儀を執り行っている家」を指します。「喪家」は、文字通り「喪に服している家」という意味で、より直接的に「死」や「喪」を表現する言葉です。一方、「当家」は「こちらの家」という、よりニュートラルな表現です。どちらを使っても間違いではありませんが、現代の葬儀では、より柔らかい響きを持つ「当家」の方が、司会者のアナウンスなどで一般的に使われる傾向にあります。次に、「当家」と「遺族」の違いです。これは、「家」という単位で捉えるか、「人々」という単位で捉えるかの違いと言えます。「当家」や「喪家」が、喪主を中心とした家族全体を一つの「家」として指し示すのに対し、「遺族」は、故人の配偶者や子、親、兄弟姉妹といった、残された家族や親族という「個人(の集まり)」を指します。例えば、司会者が「当家の皆様」と呼びかけることはあっても、「遺族の皆様」と直接的に呼びかけることは比較的少ないかもしれません。「遺族」は、より客観的で、法律用語などでも使われる言葉です。また、葬儀の中心的な役割を担う「喪主(もしゅ)」や「施主(せしゅ)」とも区別が必要です。「喪主」は遺族の代表者として弔問客の対応などを行い、「施主」は葬儀費用を負担し運営の責任者となります。多くの場合、喪主が施主を兼ねます。「当家」は、これらの役割を持つ人々を含む、葬儀主催者側の家族全体を包括的に指し示す、敬意のこもった言葉であると理解しておくと良いでしょう。
「喪家」「遺族」との違いは?「当家」の正しい使い方