初七日法要を執り行う際、ご遺族が準備しなければならない、大切なものの一つが、読経をあげてくださる僧侶への感謝の気持ちを示す「お布施(おふせ)」です。このお布施の金額や渡し方には、いくつかのマナーがあり、それを知っておくことは、僧侶との良好な関係を築き、故人を敬う気持ちを、正しく伝えるために重要です。まず、お布施の金額の相場ですが、これは、法要の形式によって異なります。本来の形である、葬儀とは別の日に行う初七日法要の場合、お布施の相場は、3万円から5万円程度が一般的です。これに加えて、僧侶に会場まで足を運んでいただくための「お車代」(5千円から1万円程度)、そして、法要後の会食(お斎)に僧侶が参加されない場合に、その代わりとしてお渡しする「御膳料(おぜんりょう)」(5千円から1万円程度)が、別途必要となります。一方、現代の主流である「繰り上げ初七日法要」の場合、初七日のお布施は、葬儀・告別式のお布施に、まとめて含まれる形で、お渡しすることがほとんどです。その場合の相場は、葬儀全体のお布施に、3万円から5万円程度を上乗せした金額が目安となります。例えば、葬儀のお布施が20万円であれば、合計で23万円から25万円程度をお包みする、といった具合です。ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、お寺との関係性の深さや、地域の慣習によって、金額は大きく異なります。不安な場合は、直接お寺に「皆様、おいくらくらいお包みされていますでしょうか」と、尋ねても、決して失礼にはあたりません。次に、お布施の渡し方です。お布施は、白い無地の封筒、または、市販の「御布施」と書かれた袋に入れます。表書きは、濃い墨の筆ペンで「御布施」と書き、その下に喪主の氏名(〇〇家)を記します。お金は、半紙や奉書紙で包む「中包み」に入れるのが最も丁寧ですが、なければ、そのまま封筒に入れても構いません。お札の向きは、肖像画が封筒の表側、上に来るように揃えます。そして、お渡しする際は、決して裸のまま手渡さず、必ず「袱紗(ふくさ)」の上にのせるか、切手盆(きってぼん)と呼ばれる小さなお盆にのせて、「本日は、父のため、ありがとうございました。些少ではございますが、どうぞお納めください」といった挨拶と共に、両手で差し出します。この丁寧な所作が、あなたの深い感謝の気持ちを、何よりも雄弁に伝えてくれるのです。