突然の訃報を受け、弔問に訪れる際に必要となるのが不祝儀袋です。故人への弔意やご遺族への心遣いを伝えるための大切な要素ですが、その種類や包む際の作法には細かなルールが存在します。まず、不祝儀袋は宗教によって使い分けが必要です。仏式、神式、キリスト教式でそれぞれ適切な形式が異なります。仏式では主に黒白または双銀の水引を使用し、表書きは通夜や葬儀では「御霊前」、四十九日以降の法要では「御仏前」とするのが一般的です。神式では双銀や白銀の水引で「御玉串料」「御榊料」、キリスト教式では水引がなく白無地の封筒に「お花料」や「御ミサ献金」と書くか、何も書かずに十字架などが描かれたものを選びます。水引の色は、仏式では黒白が最も一般的ですが、高額を包む場合や地域によっては双銀、関西地方など一部では黄白が用いられることもあります。包む金額に応じて袋の格式も考慮するのがマナーとされています。少額であれば装飾の少ないもの、金額が大きくなるにつれて立派な袋を選ぶのが良いでしょう。表書きの氏名は、水引の下中央にフルネームを薄墨で記入します。薄墨を使用するのは、悲しみの涙で墨が薄まった、急いで駆けつけたため墨を十分に擦る時間がなかった、といった意味が込められているからです。複数人で連名にする場合は、目上の方から右側に順番に書きます。中袋がある場合は、表面に包んだ金額を旧字体(例: 壱萬圓)で、裏面に自身の住所と氏名を忘れずに記載します。お金を入れる際は、お札の肖像画が封筒の裏側に来るように向きを揃えて入れます。新札を使うのは、不幸を予期して準備していたような印象を与えてしまうため、一度軽く折り目をつけるか、手元にある古いお札を使用するのが良いとされています。ただし、あまりにもボロボロのお札は避けましょう。不祝儀袋を持参する際は、汚れたり折れたりしないように袱紗に包むのが正式なマナーです。袱紗の色は紺、緑、紫などの寒色系を選びます。受付で渡す際は、袱紗から取り出し、相手の方から見て正面になるように向きを変えて両手で丁寧に渡しましょう。これらの作法を踏まえることで、弔事における自身の心遣いを適切に伝えることができます。
弔事における不祝儀袋の適切な選び方とマナー