本来、初七日法要は、故人が亡くなられた日から数えて、七日目に、改めて親族が集まり、執り行うのが正式な形でした。しかし、現代の社会においては、葬儀を終えてからわずか数日後に、再び親族が遠方から集まり、仕事を休んで法要に参加することは、非常に大きな負担となります。このような、現代人のライフスタイルの変化に対応するために生まれ、今や、ほとんどの葬儀で主流となっているのが、「繰り上げ初七日法要(くりあげしょなのかほうよう)」という形式です。これは、その名の通り、本来、七日目に行うべき初七日法要を、葬儀・告別式の当日に、前倒しで「繰り上げて」執り行う、というものです。この方法であれば、葬儀に参列するために集まった親族が、そのまま続けて法要にも参加できるため、時間的、経済的、そして身体的な負担を、大幅に軽減することができます。この繰り上げ初七日法要には、そのタイミングによって、主に二つのパターンが存在します。一つは、**「式中初七日法要(しきちゅうしょなのかほうよう)」と呼ばれるもので、葬儀・告別式の儀式の中に、初七日法要を組み込んでしまう形式です。具体的には、葬儀・告別式の読経の後半部分を、そのまま初七日法要のお経として続けていただき、焼香も、葬儀・告別式の焼香と、初七日の焼香を、一度に行います。参列者にとっては、儀式が少し長くなる、という程度の感覚で、非常にスムーズに進行します。もう一つのパターンが、「戻り初七日法要(もどりしょなのかほうよう)」**と呼ばれるものです。これは、葬儀・告別式を終え、出棺し、火葬場へ行って火葬と骨上げを済ませた後、再び斎場や自宅に「戻って」きてから、初七日法要を執り行う、という形式です。ご遺骨を安置した祭壇の前で、改めて僧侶にお経をあげていただき、焼香を行います。この後、そのまま精進落としの会食へと移るのが一般的な流れです。どちらの形式を取るかは、地域の慣習や、僧侶、そして葬儀社の考え方によって異なりますが、いずれも、故人を思う気持ちと、残された人々の現実的な事情を、うまく両立させるための、現代社会が生んだ、賢明な知恵と言えるでしょう。
現代の主流、「繰り上げ初七日法要」の流れ